未成工事受入金の消費税

前回は未成工事支出金の消費税について記事を投稿させて頂きました。

今回は未成工事受入金の消費税について投稿させて頂きます。

建設業特有の勘定科目である未成工事受入金とは

建設会社が発注者から工事の完成引渡し前に請負代金の一部又は全部を受領した場合に計上する勘定科目です。

一般企業での前受金に相当するもので、工事完成基準を採用の場合には完成する迄は負債になります。

住宅等の契約金や上棟金、又公共工事等受注の場合にも先に前払金として、一部の金額が入金されます。又下請で工事を受注されている会社は毎月完成までに出来高請求として元請先から仕事の進捗度に応じて入金されます。これらが未成工事受入金です。

例えば税抜3000万の契約工事で、1500万の出来高入金があった場合、多くの建設会社は1500万+150万=1650万の入金になります。(消費税は完成時一括に支払う建設会社もあります)

この場合に1500万と消費税150万の1650万が未成工事受入金になります。更に完成時に又1650万を入金された場合には、完成工事高3000万仮受消費税300万となります。

然しながら、未成工事の管理が出来ていない建設会社では最初の1650万の入金時に1500万完成工事高150万仮受消費税と計上処理する会社もあります。

この処理で間違いが多いのは、増税時に8%と10%の区分けが正しく出来ていない建設会社がある事です。

又多くの建設会社では決算時に未成工事受入金を前期の未成工事受入金と洗い替えして決算を組みます。

期中に今回のような増税があった場合も要注意です。

又工事別に管理をしていない場合には、未成工事支出金(仕掛工事)と未成工事受入金(前受金)が正しく把握できず誤った決算になるケースを多く拝見しています。

未成工事支出金の過少計上は前期の利益を圧迫します。又過大計上の場合には利益が増えます。

又未成工事受入金の過少計上は、完成工事高が増加した事になり、利益が過大計上になり、消費税も多く納付する事になります。

この様に他業種と比べて、損益計算が難しい事も建設業会計の特徴です。

しかも、決算時に経営審査等の為に、お化粧して利益を出したい建設会社や次の期に利益を繰延したい建設会社等は良くない事ですがこの勘定科目を悪用する事もあります。

当然税務調査等では決算月の前後の月を重点的に調査されます。

でも個別工事原価の管理をされていない建設会社では、意図せずに利益の圧縮や利益の繰延等の事例が発生します。

先ずは個別工事原価の支出把握と工事別の入金金額把握が出来る会社になりましょう。

何故なら今後景気の落込みが建設業にもやってきます。儲けの出ない安い仕事も受けざるを得ない状況が容易に予測できます。

そんな局面になった時には、大きな赤字工事等も原価が見えない場合に発生しやすい訳です。

建設会社の勝ち残りには、完成工事高よりも粗利益重視の経営が必要になると思います。



 

 


未成工事支出金の消費税

他業種と違って建設業の会計には、未成工事支出金と未成工事受入金があります。(未成工事支出金は仕掛品のような棚卸資産・未成工事受入金は他業種の前受金のような流動負債の扱いです)

本日は未成工事支出金の消費税の取扱についてです。

専門工事で年商6億円位の会社さんでのお話です。

税理士さんが変わって未成工事支出金の消費税控除の時期が違った例です。

原則外注先からの役務の提供を完了した日又は材料等を引渡を受けた日に仕入税額控除(仮払消費税)の対象にする事とします。(国税庁HPより)

と記入があります。つまり材料等を購入した時点で仮払消費税を発生させて良い事になります(従来の税理士さんの処理でOK)

仮に決算時に5千万円の未成工事支出金(材料や外注支払分)があった時に500万円の仮払消費税が控除出来ます。(当期の消費税納付額が減額されます)

然しながら新しい税理士さんは未成工事支出金の仮払消費税は完成時に課税処理されたようです。(国税庁のHPで調べてみますと)請負工事による目的物の引渡し(完成時)に課税仕入とする事を継続して適用している時はその処理が認められています。

つまりどちらの税理士さんも間違いではないと言う事です。

私は納付を後ろに繰延する方法が資金繰り面にも有利のような考え方です。

でも完成時に借受消費税が発生しますので、その時に合わせて仮払消費税を発生させる方法も間違いでは無く考え方には一理あります。

中小建設業の社長さん、自社の処理を一度ご確認頂いてはと思います。(キャッシュフローにも関係します)
 

 


工事完成基準と工事進行基準

建設業の売上高の計上方法は2つあります。

一般的な工事完成基準とは、工事の完成お引渡し時点で売上高(完成工事高)として収益が認識される基準です。

4月末に完成して仮に7月に工事代金が入金になった場合も4月が売上高の計上になります。期中に入金時に売上計上をされる会社では決算期に注意が必要です、税務調査等で追加徴税される事もあります。

もう一つ工事進行基準があります。工事進行基準は工事の進行度合いによって収益を認識する経理方法です。

長期大型工事(請負額が10億円以上で工事期間が1年以上)の場合は工事進行基準の強制適用となります。

請負金額×工事進捗率が当該年度の売上です。

但し2年目以降に計上する場合には前期以前に計上済の売上高はマイナスします。

工事進行基準適用の要件が3つあります。
々事収益総額の信頼性
工事原価総額の信頼性
7荵仔における工事進捗度の信頼性です。

例えば20億円の請負金額の工事で原価見込みが80%粗利益率20%の場合に初年度50%の進捗率で決算をした場合には売上高10億円原価8億円粗利益2億円となります。

しかし次年度の売上高10億円原価が9億円の場合には粗利益1億円となり、完成基準ですと20億円粗利益率15%粗利益額3億円になります。

明らかに3つの要件を満たしていません。

従って将来上場を目指す会社や長期大型工事の受注をする会社では、実行予算管理や原価管理を正しく把握する事は必須です。

又個別に工事原価の把握を未実施の会社では、決算時の未成工事の把握も困難な事から、請求書の発行時や元請からの支払通知書等の日付で売上高として計上しています。(完成基準にはなっていません)
又工事原価は納材業者や外注業者からの請求書の日付を原価の計上日としております。

上記のどちらの基準にも適応しません(請求書発行基準)

これでは正しい決算とは言えません。

正しい請負額−正しい工事原価=正しい工事の粗利益です。

正しい利益の把握が建設会社の生き残りに不可欠と思います。

長期大型工事の受注がある会社は上記3つの要件をクリアすべく実行予算管理や進捗管理を実施可能な会社に

決算書に未成工事支出金や未成工事受入金の記載の無い建設会社は

是非正しい原価管理や実行予算管理等早期の実施が望まれます。




 


消費税の理解が難しい建設業の請求書

年商6億円位の専門工事業の会社さんに追加消費税の表示の請求書が到着しました。

一見間違いの様に感じました、間違いのまま支払済の状況で資料を拝見しました。

12月付の請求書です。契約金額が決まっていて分納の形で請求されています。

業者さんへの支払契約額は2000万円です。

注文書は発行していません。

2019年9月の時に第1回目の中間出来高支払の請求書が2000万の内1000万と消費税8%で合計1080万
を10月に支払っております。

完成金として残り1000万消費税10%合計1100万の請求書の別行に消費税差額2%、20万の表示があり
合計1120万の支払を1月に支払った後、2月の訪問時に確認した訳です。

この件について相手先の営業マンに問い合わせました。

営業マンの答えはこの現場は10%で支払うと現場で言われました。
現場担当者に聞くと、消費税のルールを知っている訳ではなくそんな事は言っていません。

相手の営業マンにご説明しました。

経過措置を適用して、3月以前に注文書の形で請負契約があれば、10月以降のお引渡しでも8%になります。
この場合には契約書が無いので、9月請求は8%12月請求は10%の請求が通常です。
其々の月に部分完成が成立した形となりますし御社の請求書もその形で発行されています。

請求書の表示は別にして、以前にブログにも書きましたが、完成時に仮払消費税が発生する形が正しい事は理解しています。
つまり9月は出来高1000万消費税0円、12月は完成金1000万仮払消費税は2000万に対して10%の200万の形です。

9月の税理士さんの仕訳は外注費1000万仮払消費税80万となっております。
12月の仕訳は外注費10,181,818円仮払消費税1,018,182円合計1120万の現状です。

もし20万が戻されれば戻った時の仕訳は181,818円の外注費の戻し仮払消費税修正18,182円で解消されますが

もし完成時に消費税が発生する、返却されない形の場合には(請求書の表示は疑問ですが、2000万にたいする10%の仮払消費税)
外注費1000万仮払消費税120万として頂かないと会社が181,818円外注費の過剰計上となり、その分原価がアップして、納付する消費税が増加する事になります。

つまり2000万の10%200万の仮払消費税が正しいが、会計上の処理は80万+1,018,182円の合計1,818,182円に成っております。
200万との差額、上記181,818円が、会社の会計を修正しないとその分の181,818円消費税の納付額が増え、同額の外注費が増える事になります。会社が損をします。

面倒ですが、分った以上会社の方や税理士さんに理解して頂いて会計を修正頂くように頑張らねば。

この様に前回の5%⇒8%への消費税アップの時も沢山間違い例を見つけましたが今回の請求書は新しい発見でした。


社内に会計も建設業の会計も分かり、現場の状況も分かる方が居ないと間違いの発生リスクが高い建設業の消費税です。


会社から見れば税金の話ですので、税理士さんが正しく処理されて要る筈とお考えですが、請求書等の帳票を毎月チェツクして頂ける事は難しいと思います。

 







 


消費増税時の注意事項

株式会社アイユートの服部がお届けいたします。第20回は2019.10月からの増税時の注意事項です。前回の5%⇒8%の増税時中小建設業で発見した間違い事例をご紹介します。

【建設業の消費税 事例と注意点】

以上のご説明の様に、建設業の消費税は間違いが多く見られます。

更に税率のアップ以上に大事な問題が『適格請求書保存方式』の導入が令和5年10月より導入される事です。(協力業者さん等の請求書を外注費等発生時に仮払消費税が発生しましたが、新制度では協力業者が登録して請求書に登録番号の記載がある場合のみ仮払消費税が発生します)従って消費税を納めていない協力業者分は消費税分が控除出来ません。問題だった益税が無くなります。この様に消費税については税理士さん任せで無く

社内で正しい知識を持つ事が重要です。建設業の消費税はアイユート迄不明点等お問合せ下さい。


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